
右奥の高い三角がカムエク
(写真は2020年より)
カムイエクウチカウシ山や1839峰も好きですが、より人の気配が少なく、熊の気配が濃く、山深いところに来ている気持ちにさせてくれるエサオマントッタベツ岳は特別な存在です。
2016年の豪雨で大損壊した戸蔦別林道は、次第に改修工事が進み、従来車で入られたところまでの2/3程度まで入られます。その地点から奥も測量などが進んでいるようなので、近い将来、元の姿に戻るかもしれません。
林道を歩いてしばらくするとびれい橋があります。橋の上の泥が溜まったところにはいつも獣の足跡があり、今回ももれなくありました🐾🐻

鹿も熊も、人間同様合理的にかつ歩き易い道を行く訳ですよね。なのでそもそも「林道や登山道で熊は居るもの」と再認識し、彼らが居る前提で歩みを進めます。
7月の中旬から1ヶ月弱続いた猛暑の影響か、草木がとても生い茂り、またエサオマンに入る登山者が少ない?せいかヤブヤブなところが多かったです。

しかしながら、登山者の少ないエサオマンの踏み跡が10年前と変わらずある。そしてその踏み跡上には鹿や熊の足跡がある…。という事は、僕ら登山者より、そこに暮らす彼らによって踏み跡が維持されている訳ですね。
これも今回改めて理解したことで、「お邪魔します」という気持ちがより一層強くなりました。
エサオマンに入り、一泊目を終えた早朝のこと。その朝みた夢を鮮明に覚えていました。
今年1月に他界した僕らのガイド仲間の今泉さんが、夢の中でアイスクリームも掬い取り方を丁寧に指導してくれていました(笑)
かつてシェフでもあった今泉さん。何年も前のことですが、ケーキ作りが好きな僕を誘ってくれ、北海道山岳ガイド協会の総会の差し入れのために、お店の厨房で一緒に何種類もケーキを作りました🍰
当時の写真を引っ張りだせず残念ですが、僕にとって今泉さんとの大切な思い出です。
そう、この日は今泉さんが亡くなって初盆だったんです。会いに来てくれた事がとても嬉しく、またこの先の山行を見守っていてくれているのだと心強く思い、エサオマンのカールを目指しました。


予報通り、早朝は曇り。谷を埋める低い雲の中は肌寒く、出発時の気温は9.7℃でした。進まねばならぬ、なのでこれでもかという数を見せるオショロコマを横目に登ります。
午前中は晴れる予報を信じ進むと、雲が割れ始め稜線が見えてきました!


左岸にある巻道をあがり、荒々しい滑滝へ突入します。ここからが核心の一つ。


土も岩も水も歩くルートなので、沢靴はラバーソールがオススメです。フェルトでも大丈夫ですが、それぞれの足元に対する平均値としてはラバーが良いでしょう。
沢を詰めてエサオマン北東カールが見えて来ました。


比較的狭く急峻で荒々しい山肌を見せる北東カール。熊の掘り起こしや糞などの痕跡も多数ありますが、湧き水がチョロチョロと流れとても居心地の良い空間です。静かな水の音を聴きながらのテント泊は今シーズン最高の快眠でした。

予定よりも早く着けたので、その足で山頂を目指しましたが、あいにく晴れの力は時間切れとなり、冒頭の様な展望には恵まれませんでしたが、無事に登頂を果たしました。

山頂を往復するルンゼは、一番近いところを選んでいるのですが、ここも人の通りは皆無?と見え、いつもより浮き石がたくさん。
省エネを優先し、時間と手間をかけて慎重に登り降りしました。30mロープも2ピッチ使用。安全を確保した上で浮き石も除去しました。



これを作る事が出来て上手くいきました。
何より嬉しい気持ちになったのは、このルートに熊の足跡があった事です。この急峻なルンゼの途中で出会ってしまったら最悪の事態ですが、沢登りやバリエーションルートの途中、選んだルートが熊のルートの場合、最短かつ野生的に合理的で上手く行ってると確信しています。
予備日を使う事なく無事に下山出来たので、最終日はリラックスタイム。ph10.0で知る限りでは最もツルツルな温泉のオソウシ温泉へ。

&十勝地方でのランチと言えば、

どれも美味しいので、毎回違うメニューを選んでいます。人気店で待ち時間が多少あるかも知れませんが、近くを通る際は是非お立ち寄りください!
エサオマントッタベツ岳。また来年もお邪魔します👋