2022年4月29日〜5月3日

この春の大一番。GWの大型連休を利用して残雪の1839峰に挑戦しました。
大型連休なれど、入山者は僕らだけ…笑
当然か💧
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夏には沢歩きをして、藪漕ぎをしてその頂に立つ1839峰ですが、数年前の経験から天気にさえ恵まれれば残雪期の方がとっても快適だったので、設定しました。
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流石にこの時期、歩き始めは札内ダムゲートから。その後の沢歩きは渓流釣りツアーで用意しているウェーダーを皆さんに履いてもらって。

雪解け水の沢はとても冷たく、まともに濡れるとこれは危険❌ という事で最近得意の試み。
なかなかの優れもので、多様しています。
冬のアイスクライミングでは銀河の滝の渡渉や、登山口までに沢が挟まるルートなどにて。
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沢にはまだデブリの名残がありましたが、歩行に問題はなし⭕️ 夏と同等の時間で夏尾根の取り付きへ辿り着きました。
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そうそう、このGWに入る前。丁度真ん中あたりに日高山脈は大雪の予報が入っていて、入山前に悩みました。
事前のリスク評価として、計画を前倒し、短縮しての挑戦に決定。3泊4日+予備日でしたが、出発から早めて2泊3日でのトライへ。
この日は1305mの夏尾根途中のテント場にて幕営。悪天に捕まって脱出不能にならないためにも、ここをベースキャンプとする事にしました。

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DAY 2
超!早朝出発。2:30am。ヘッドランプを点けて、朝一番からアイゼン、ピッケル、ハーネスのフル装備。いきなりの急斜面をロープで繋いでのスタート。
ベースキャンプからは雪でしたが、中途半端な残雪量、朝一番のカチカチにつき、厳しい始まりではありましたが、ゆっくり上へ上へ。
途中の岩場もなかなかでしたが、無事に夏尾根の頭へ。

中央右手がカムイエクウチカウシ山。
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素晴らしい景色に元気を貰いました。この日は風は吹くものの快晴の予報。時間を目一杯使ってのロングアタックに挑戦です。
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雪はまだまだカチカチで調子良く進んで行きましたが、稜線に上がり眺めた時に昨日の嫌な予感が現実のものになってきたのを感じました。。。
やはり稜線上も雪が少なく、雪の上を歩く事が出来る割合が減ってしまい、ところにより夏道(這松の藪)を行く事を余儀なくされ、予定していたペースで進む事は難しくなってしまいました。
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しかしながらまだ登頂の可能性が閉ざされた訳ではありません。与えられた天候的好条件、このチャンスを最大限に活かして、ギリギリのところで判断をさせていただく事をお客様方に承諾いただき、進みました。
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素晴らしい景色の中、歩みを進めて来ましたが、ここでの判断となりました。
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丁度このツアーへの出発前に、アルピニストの野口健さんの話を耳にしました。
ある日仲間と山に登っていた時に、天候急変の予兆を見つけた野口さん。悩んだ結果、野口さんは途中で下山をする判断を下しました。仲間はその判断に理解を示す事なく進んでいきました。
野口さんの頭の中にはこんなイメージがあったそうです。
「登頂する姿はイメージ出来たが、無事に下山をする姿をイメージする事は出来なかった。」
その結果、仲間は帰らぬ人となり、山で命を落としてしまいました。
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この想像力、山での行動において本当に重要なものだと感じ感銘を受けました。
山岳ガイドである僕の仕事は、お客様を安全に登頂&下山をしていただく事。
お客様を登頂させるだけが僕の仕事ではありません。
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このツアー期間中に与えられている条件をじっくり精査し、安全を第一に最適と考えられる行動パターンを落ち着いて考え、お客様にご説明の上、最大限の挑戦をする事にしました。
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しかしながら、この日は登頂する姿はイメージ出来ましたが、無事にベースキャンプに戻る姿をイメージする事が出来ず、大変申し訳ありませんでしたが、ヤオロマップ岳で折り返す事にさせていただきました。
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ベースキャンプへの復路も残雪の少なさから、やや困難でしたが余力を残して無事に戻りました。
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DAY 3
天気予報通り、少しずつ天候は崩れ始めているサイン。作戦通り、崩れる前に下山するため、この日も早い出発。

テントを撤収し、出発する頃、何とも言えない赤い朝焼けに見送られました。
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帰りしな、山の幸を少しお裾分けしていただきました。
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ひとまず無事の下山完了⭕️
お疲れ様会という事で、佐藤家の大型ビニールハウスで雨の音を聞きながらBBQで夕食。
タラの芽も素焼きにしていただきました。

丁度、春掘りの長芋もまだあったので、アルミホイルに包んで焼き芋感覚で焼いてみました🔥
これも美味ー!


峻の膝の上で焚き火の温もりを満喫してました😽
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残った二日間は天気予報と相談して観光&楽古岳登山へ。


帯広の名物、豚丼!炙りチーズのせは初めて✌️
オススメです!

最終日は楽古岳に登りました。
不思議な現象が起きまして、山頂に着く少し前から楽古岳周辺だけ青空が。周辺の山はたまーに見える程度。
そして山頂滞在中、下山開始頃からまたしっかり雲に包まれ真っ白に☁️
絶妙なタイミングで山頂周辺に居る事が出来ました😸
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スキーの仕事はまだありますが、これにて残雪登山の仕事は〆となりました。
有難いことにリクエストも頂戴しまして、2023年のGWも残雪の1839のツアーを設定します。
体力、アイゼンピッケルの技術は必要になりますが、これは残雪期の日高の山には必須項目となります。
ご興味のある方は是非いかがでしょうか。