母なる山 十勝幌尻岳

先日、またも悪天に阻まれてしまったエサオマントッタベツ岳の代替案の一つとして、久しぶりに十勝幌尻岳に登ってきました。

十勝幌尻岳は、小学校中学年の頃、母と祖父と共に登った人生初登山の山。今の人生に導いてくれた大切な場所です。

幼少期から眺めていた風景。実家のすぐ近くにて。

今回はしばらくぶりの十勝幌尻岳。

というのも、2016年8月末の豪雨災害により、十勝地方には2日間で約2ヶ月分の雨が降り、日高山脈や大雪山〜東大雪の山々は通じる林道は大きな被害を受けました。

当時高速道路も閉鎖され、他地域と十勝地方を結ぶ峠などは土砂崩れにより通行止めとなり、十勝地方は一時陸の孤島と化していました。その後、日勝峠は1年強の通行止めになるという事態に。故郷を襲った災害だけにその時の事はよく覚えています。

十勝幌尻岳、札内岳、エサオマントッタベツ岳に通じる戸蔦別林道も漏れなく大損害を受け林道中盤は流失。しばらくして復旧しましたが、十勝幌尻岳登山口へ通じるオピリネップ林道も深い雨烈が走り車両通行は不可に。オピリネップ林道は一昨年くらいに復旧し、地元で人気の山には登山者が戻りました。

今は再び従来の登山口まて車が入り、林道を直していただけた事に感謝しかありません。

序盤の登山道は沢沿いの林の中にありましたが、美しかった林と沢の景色は見事に流されています。沢を覗いて岩魚を見つけたワクワク感。とても懐かしい思い出です。

要所にピンクテープが付けられていますが、ところどころ分かりにくい箇所もあり、注意が必要ですが、沢登りの様にしっかり眺めてルートを探す感覚は個人的に好きな要素です。

尾根に取り付いてからは昔のまま。笹の生い茂りは多少気になるところでしたが、日高特有の急登を登って行くと、背後にはところどころ十勝平野が垣間見られ、高度感が出て来ます。

約800mの急登を終えると肩に出て、この辺りから展望が良ければ幌尻岳〜伏美岳などの奥深い日高の景色が現れ、登山者に元気を与えてくれます。今回もつい先日伏美岳〜北戸蔦別岳の縦走をご案内したお客様と歩いた縦走路を眺める喜びを分かち合いました。

登頂の少し前からは、展望の良い這松帯に。初めての登山の時、この辺りで少し疲れて祖父にザックを預かってもらい、這松のトンネルを駆け上がった事を今でも覚えています。

そして山頂からは生まれ育った十勝平野を見下ろし、裏手には雄大で奥深い日高山脈の大パノラマを堪能する事が出来ます。

広い畑と格子状の防風林が地域の風景。
ルベツネ岳、ヤオロマップ岳、1839峰。
ジャンクションピーク、エサオマントッタベツ岳、
札内岳。
幌尻岳とトッタベツ岳。

初登頂の時は雲一つない大展望で、母に買って貰った双眼鏡で実家付近の景色を覗いた時の感動は今でも忘れません。

今回、実家付近の景色を眺める事は叶いません
でしたが、今でも大切にしている母の形見と
共に登頂しました。

山岳ガイドという天職に導いてくれた亡き母と祖父には、感謝しかありません。身体を大切にして、少しでも長く山で皆さんを笑顔にするこの仕事を全う出来る様に頑張りたいと思います。

人生の原点となっているこの山にはもう一つのエピソードがありますが、それはまた良い天気の日に十勝幌尻岳を登る事が出来たら書かせていただきたいと思います。

実家の裏から畑越しに眺める十勝幌尻岳。

久しぶり過ぎるブログ更新となりましたが、気持ちが向いた時にまた書かせていただこうと思います。

お読みいただきありがとうございました☺︎

母なる山 十勝幌尻岳」に2件のコメントがあります

  1. お疲れ様です
    北海道も天気に悩まされますね
    自分もガイドでお世話になった時だけよくてラッキーでした
    今後ともよろしくお願いします
    山通過ありがとうございました
    棚橋

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    1. 棚橋さん

      コメントありがとうございます。

      先日はご参加ありがとうございました。素晴らしい天気に恵まれた縦走でしたね。

      北海道は7月下旬頃から急に雨が多くなり、なかなか一筋縄では行かないツアーが多くなっています。それでも何とかかんとか頑張っている次第です。

      またお会い出来る事を楽しみにしております!

      佐藤佑

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